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水防人の夢インタビュー announcement

土のう積みだけではない水防団員の大切な役割

~水防活動に不可欠な情報連絡を通じて水害から地域を守る~

佐藤繭香さん (淀川左岸水防事務組合 港区防潮本部)
過去に大きな水害を経験している大阪市港区。そうした記憶も薄れ、地域の危険性を認識している住民も減少してきている中、どのようにして来たるべき水害に備えるか。防潮本部の無線連絡要員として活躍されている地元の女性団員の方に、地域の防災意識を向上させる方策、若者の水防活動への参加を促進するアイディアなどについて伺いました

●水防団に、どういった「きっかけ」「経緯」で入られましたか。

 淀川左岸水防事務組合防潮本部の事務の仕事で働き始めて今年で3年目になりますが、その延長線上で、自然と水防団に入ることになりました。水害の危険性が高まると、各区役所内に区の防潮本部を立ち上げることになるので、その区役所の近隣住民ということもあって、水防活動に関わることになりました。

●水防団に入られて、水防活動について新たに気付いたこと、感じたことはありますか。

 仕事の延長線上で入団しただけなので、初めは何もわかりませんでした。近所に淀川が流れていること、昔、淀川で水害があったことも知らなかったし、鉄扉(てっぴ)の意味もわかりませんでした。水防団に入って初めて、意外と川の近くに住んでいるんだなってことに気付いたぐらいです。

●水防団では、具体的にどのような活動をされていますか。

 主な役目は、連絡要員です。まずは区役所の近所の私が駆けつけて、防潮課長が区の防潮本部に参集するまでの間、代わりに情報の受け渡しを行っています。防潮課長が来た後は、各水防団の分団と組合の防潮本部の間に立って、無線の連絡要員として活動していま

水防団専用の無線機
情報連絡体制のイメージ図

●水防訓練に参加したことはありますか。

 連絡要員として参加したことはあります。実働(鉄扉の開閉)を伴う訓練については、本当の水害時に開閉作業をされる団員さんたちが優先的に訓練されているようですが、いつかは経験することになると思います。

●連絡要員として、何か心掛けていることはありますか。

 聞き間違い、言い間違いをしないで正しい情報を伝えなければならない、ということに、すごく気を使っています。一刻を争う非常時ですから聞き直すわけにもいかないので、必死に聞いて必死伝えています。

●水防団へ女性の参加を増やすには、どうしたらいいと思いますか。

 お子さんのいる若い女性は、家族を命に関わることなので水害には関心があるけれど、家族がいるので水害時に必ず出動できないという理由で、なかなか入団するまでには至らないようです。

●昔に比べて、若い方のボランティアに対する意識は高くなっていると思いますが、そうした方々に水防団(水防活動)に参加してもらうには、どういった活動をしていけばいいと思いますか。

 地震などの災害が起きた後のボランティア活動は、色々な報道もあって、何をすればいいかハッキリしていると思いますが、災害が発生する前の水防活動がハッキリとイメージできないので、その辺を若い人たちにうまくPRできたらいなと思います。

●具体的には、どんなイメージを伝えればいいと思っていますか。

 今までの「土のう積み」という力仕事のイメージだけでなく、堤防を巡視して、その様子を本部に連絡するという情報伝達も、水防団の大事な役割の1つだということを伝えられれば、若い人たちが「スマホで撮った堤防の写真を送ってみよう」という情報ボランティアのような形で、水防活動に協力してもらえるのかな、と思っています。

●そうすれば、みなさん水防団に入ってみようと思いますかね。

 いや、必ず出動しなければならない水防団に入るというのは、やはりハードルが高いと思います。なので、「水防サポーター」みたいな仕組みを作って、水防団員でなくても堤防の様子を情報伝達(投稿)できるようにすれば、水害時に大事な情報をたくさん収集できるし、何か社会に貢献したいと思っている若い人たちの受け皿にもなると思います。

●今後の水防団の活動について、何か希望することはありますか。

 川の近くに住んでいる方は、目の前に川があるので日頃から水害に対する意識が高いんですが、川から離れた地域の方々は、どうしても意識が薄くなってしまっています。さらに、もし意識をもって知ろうとしても、どうやって、どこに聞いたらいいかもわからない状態のようです。「このへんの土地は低いよね」という地元の方の声は聞きますが、川に囲まれた海抜ゼロメートル地帯だという具体的な土地の特性について知っていれば、いざという時にどっちに避難したらいいかもわかると思います。なので、住んでいる町の水害に関することを、もっとわかりやすく、簡単に調べられるようにして、1人でも多くの住民の方に知ってもらえるようにしてほしいです。

●今後、水防団の活動の中で実践していきたいと思っていることはありますか。

 水防活動というと、どうしても土のう積み=力仕事という男性のイメージが強いと思いますが、そうした実働をどこで実施するかという判断に不可欠な堤防の情報などの連絡要員なら、女性の私でもできますし、いざというときには大切な役割だと思っています。そうした女性でも水防活動に参加できる部分を他にも見つけながら、これからも、水害から地域を守っていきたいと思います。

川と海に囲まれた港区 〔出典〕港区役所資料